NIKEと日本のエースたち

このページの最終更新は21年3月12日です

こんにちは

バックネット裏(@baseballbacknet)です。

いきなりですが、この記事を読まれている皆様に質問です。

バックネット裏

・好きなグラブメーカーはどこですか?

数多くのメーカーが混在する昨今。好きなメーカー/ブランドを一つに絞るということは非常に難しいかもしれません。

私も、一つに絞れと言われると回答に詰まってしまいますが、いくつか挙げて良いということであれば間違いなくエントリーするメーカー/ブランドがあります。

それは、NIKEです。

現在、一般の市場に既成品/オーダー品ともに流通していないので、入手することは非常に困難な状況です。

いつの日かNIKEのグラブが復活することを祈りながらこの記事を書きました。

NIKEのグラブを好きだった方はもちろん、特に気にかけていなかったという方にも是非この記事を読んで頂き、NIKEのグラブ復活を願う方が一人でも増えてくだされば嬉しいです。

→2020年のシーズンでNIKEのグラブを使用する選手は以下の記事でまとめています。

【2020年Ver.】野球メーカーの契約選手まとめ-番外編-

2020年4月17日

 

NIKEとは

この記事を読まれている方にはもはや説明不要かと思いますが、改めて、NIKEとはどのようなブランドなのか振り返ってみたいと思います。

創業のきっかけは日本のあのメーカー

元々は、創業者のフィルナイト氏が若き日に神戸を訪れた際、オニツカタイガー(現在のアシックス)の質を気に入り、アメリカでの販売代理店として事業をスタートさせたことがきっかけです。

その後、”様々な”問題が発生したために自社ブランドの立ち上げを決意。

その自社ブランドこそが、現在のNIKEです。

創業から現在のブランドを確立するまでの詳細な経緯が以下の書籍にまとめられていますので、気になる方は是非読んで見てください。

私も最近読んだのですが、あの有名なタグライン「Just do it.」を創業者自らが実践してきた歴史を知り、ブランドとしてより一層好きになりました。

ちなみに、この2足のデザインが酷似している理由もわかりますよ。

「NIKE」グループのプレミアムブランド「JORDAN」

現在のNIKEの企業規模は

世界における連結売上は驚異の363億9,700万米ドル(2018年度)。スポーツメーカーというくくりでみた場合には、第2位のadidasに1兆円以上の差をつけて圧倒的業界1位です。

創業時はシューズのみの展開だったNIKEも、現在はスポーツメーカーにとどまらず様々なライフシーンで登場する世界的企業となりました。



時代別にみる日本人投手とNIKEの関係

ここからが、記事の本論になります。

NIKEとNPBの歴史を厳密に紐解いていこうとすると、西武ライオンズ時代の清原和博選手をはじめとした80年代後半から90年代初頭まで遡るのだとは思うのですが、この記事では2000年以降かつ投手を中心に扱っています。

今から約20年前、00年代初頭といえば、NPBにNIKEのグラブを使用する選手はほとんどいなかった時代。

いたとしてもスパイクのみバッティンググラブのみ、など限られた使用範囲だったと記憶しています。

そのような状況下にあって、時代を経るごとにどのような変化があったのか、順番に追っていきましょう。

00年代初頭:NIKEユーザーはまだまだレアな存在

▼2000年の開幕投手が使用していたグラブは?

一般的に、球団のエースが務めるとされている開幕投手。

まずは、2000年の開幕投手たちが当時使用していたグラブメーカーを振り返ってみましょう。

※敬称略

ミズノの7人を筆頭に、NIKEのグラブを使用する選手は見当たりません。

上原投手や松坂投手といった、後にNIKEを代表する選手になる二人も、この頃はミズノのグラブ使用していました。

この頃NIKEを使用していた投手として、現在はNHKで解説を務められる武田一浩氏を発見しました。ロゴが今とは異なり、丸で囲まれていたようです。

中日に在籍していたのが99年〜01年の3年間になりますので、そのいずれかのシーズンで使用していたようです。

00年代中盤:徐々に増え始めたNIKEユーザー

▼2005年の開幕投手が使用していたグラブは?

2000年と同様に、2005年の開幕投手たちが使用していたグラブを振り返ります。

5年の時を経て、開幕投手のNIKEグラブユーザーが「0→5」へと増加している様子がうかがえます。※後にNIKEのグラブを使用する岩隈投手は、この当時はZETTのグラブを使用していました。

前述の2人は、ともにミズノからNIKEへと使用するグラブを変更しています。

2001年に西武ライオンズのユニフォームスポンサーになったことも影響してか、松坂投手はいち早く2003年頃からNIKEのグラブを使用していた記憶があります。

「NIKE」グループのプレミアムブランド「JORDAN」

▼甲子園でもNIKEが登場

プロ野球でNIKEのグラブを使用する投手が目立ち始めたこの頃、甲子園を沸かせたあの投手もNIKEのグラブを使用してい出場していました。その選手こそ、現在はMLB シカゴ・カブスに所属するダルビッシュ有投手。宮城県代表として出場した2004年夏の甲子園でNIKEのグラブを使用していました。

東北高校・ダルビッシュ有投手(引用:週刊ベースボールオンライン)

その他にも、後にオリックスに入団する古川秀一投手(長崎・清峰高校・05年出場)や、投手ではないですが、主将として2年連続夏優勝を達成した林裕也選手(北海道・駒大苫小牧高校・04年/05年出場)もNIKEのグラブを使用していました。

清峰高校・古川秀一投手(引用:週刊ベースボールオンライン)

[ナイキ]バッティンググラブ

00年代後半:NIKE全盛の時代へ

▼NIKEはエースの証?!

00年代後半に入ると、NIKEのグラブを使うことがエースの証とも言える時代となりました。

以下は、以前私がtwitterに投稿した画像です。

顔ぶれを見ていただくと、この当時各球団でエースと呼ばれた投手達がNIKEのグラブを使用していることがわかります。

また、この記事では詳しく触れていませんが、MLBに挑戦した城島健司捕手・松井稼頭央選手・岩村明憲選手を始めとする野手の間でもNIKEのグラブを使用する選手が年々増加していました。

このように、チームにとどまらず、日本を代表する各選手がNIKEを使用し、00年代後半はまさにNIKE全盛の時代とも言い換えることができると思います。

[ナイキ]バッティンググラブ

10年代前半〜中盤:勢いに陰りが?

▼増え続けるNIKEユーザー

2000年代と比べるとペースは落ちるものの、2010年代に入ってからもユーザーは依然として増え続けます。入団直後というよりは、入団直後はNIKE以外のメーカーを使用していた選手が、数年後にNIKE変更するというケースが多かった印象です。以下の2人も入団後数年してからNIKEに変更した経緯があります。

▼NIKEに変更する多くの選手に共通する点とは?

本論からは少しずれますが、上記の2人にも関連する話題を。

まずは、以前twitterに投稿した以下をご覧ください。

ZETT→NIKEに変更する選手が多いという主旨の投稿なのですが、どのような理由からなのかは未だに不明です。

▼NIKEから他のメーカーに変更する選手が

話を戻します。

NIKEを使用する選手が増える一方で、他のメーカーへと変更する選手が出始めたのもこの頃だったと記憶しています。

先程引用したツイートの中でも、ホークス・和田投手がadidasへ、ファイターズ・ダルビッシュ有投手がアシックスへとそれぞれ使用するグラブを変更しています。

▼一般向けオーダーの受注が受付終了へ

この頃、一般のNIKEグラブファンの間で衝撃のニュースが流れました。

NIKEを使用する選手が減り始めたことも影響してか、2014年10月をもって一般向けのオーダーを終了させるとの発表がされたのです。

2019年6月1日現在、オーダー受注は依然としてできない状況となっており、インターネット上に残された当時のオーダーフォームを見返してはオーダーしておかなかったことを悔やむ日々です。。

10年代中盤〜:baseballカテゴリーの縮小?

オーダーのみではなく、既成のグラブも販売終了となった2010年中盤以降、NIKEとしてbaseballカテゴリーの縮小傾向が感じられます。特に以下3点からはその様子が顕著に感じられるのではないでしょうか。

▼①ユニフォームスポンサーからの撤退

2001年から西武ライオンズへのユニフォームスポンサーを担当していましたが、2015年をもって契約終了。その後、2020年シーズンを迎えた現在でもNIKEのユニフォームを着用するチームはありません。

 

▼②ECサイトにおける野球/BASEBALLカテゴリーの扱いの小ささ

NIKEの公式ECをみても、野球/BASEBALLカテゴリーではオーダースパイクのみの紹介となっており、ラインナップ自体も充実しているとは言い難い現状です。

NIKE 公式ECサイト※画像にリンクを設定しています

また、サッカーやバスケットボール、ランニングについては特設のページが設けられている一方で、野球/baseballにはそのページが見当たりません

▼③NIKEから変更する選手が目立ち始める

前述の和田投手やダルビッシュ投手たちから始まった”NIKEからの離脱”は10年代中盤に入ってからも続きました。

「増え続けるNIKEユーザー」の項で紹介した2投手も、現在はそれぞれ異なるメーカーを使用しています。

 

選手個人の意思によるものなのか、メーカーからの契約停止なのか、詳しい事情については憶測の域を出ない部分が多分にございますので、ここでの記述は避けたいと思います。

NIKEの今

▶2019年

2000年、2005年と振り返ってきた開幕投手が使用するグラブについて2019年を同様に振り返ります。

※キャンプではNIKEを使用。シーズンに入ってからはウィルソンを使用中。

NIKEを使用する開幕投手は3人です。事情の詳細は不明ですが、山岡投手が春季キャンプ中にNIKEからウィルソンのグラブに変更をしていました。

2019年シーズンにおいてNIKEを使用する日本人投手

続いて、今シーズンNIKEを使用する日本人投手一覧をみていきましょう。

私が確認したところによると下記14人が該当しました。

▶2021年

前項から2年が経過。引退やメーカー変更などもあり、NIKEのグラブを使用する日本人投手は14名から9名へと5名減。

 

所属 背番号 選手名 備考
ホークス 17 岩嵜 翔  
イーグルス 17 塩見 貴洋 久保田スラッガーと併用
イーグルス 31 福井 優也  
マリーンズ 12 石川 歩  
マリーンズ 17 佐々木 朗希  
ジャイアンツ 62 横川 凱  
カープ 30 一岡竜司  

 

▼令和の怪物がNIKEのグラブで実践デビュー

令和の怪物こと、マリーンズ・佐々木朗希投手が2021年3月12日にオープン戦で実践デビュー。

その際に使っていたグラブがこちら。NIKEのグラブとともにどのような”伝説”を残してくれるのか楽しみです。

佐々木朗希_グラブ_ナイキ

 

まとめ

ここまで、00年代初頭から現在に至るまでを投手のユーザーを中心に大まかに振り返ってきました。

たった20年弱の出来事ですが、NIKEという世界的ブランドがNPBに嵐のようにやってきて今現在はその勢力が弱まっている様子の一端をお分かり頂けたかと存じます。

日本におけるグラブ事業から撤退を決めた際も、相当なシミュレーションを経て下された決断だと思うので、ここ数年での復活は難しいのではと個人的には感じています。それでもなお、NPBにNIKEを使用する選手が居続けてくださる以上、復活の望みは失わず待ち続けたいと思います。

最後に、いつも勇気づけてくれる言葉を今回は私からNIKEのグラブ事業に投げかけたいと思います。

「Just do it.」

読んで頂きありがとうございました!

プロ野球選手が使うNIKE

[不定期更新]プロ野球選手が使うNIKEのグラブ

2021年1月31日

 

おまけ

MLBで決まった大きな契約は追い風になるか

現在、MLBのユニフォームサプライヤーはMajestic社が2019年シーズンまでの契約を持っています。

2020年からはアンダーアーマー社が後任となる予定でしたが、辞退したことによりNIKEがサプライヤーとなることになりました。この契約は2020年から10年間の契約となるため、少なくともMLBにおけるNIKEの存在感は増していくものと考えています。

この流れが、日本にも波及すれば、復活する日も近い?

期待の若手が使うグラブの謎

2018年のドラフト会議で、巨人からドラフト4位を受けて入団した横川凱投手。

2018年春夏連覇を達成した大阪桐蔭高校左のエースでした。

使用しているグラブについて以前twitterに投稿しましたが、フォロワーさんに教えて頂いた情報によると、和田投手がかつて使用していたグラブとのことです。

  • なぜ、チームが違う和田投手のグラブを?
  • なぜ、新品ではなく10年以上も前のグラブを?

などこの写真1枚から浮かび上がる疑問はつきません。

期待の左腕だけに、1軍に上がった際にこのグラブを使用するのか、こっそり楽しみにしています。

【2020年Ver.】読売ジャイアンツの選手が使用する道具一覧【道具まとめ】

2019年12月30日

 

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